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胡蝶の夢

ハッとした昨日の夜

最後の灯り弾けて火花散らした

今じゃ誰も通らないような

裏通りの街灯が目の前で消えた

 

歩き慣れてはいたけれど

昔は僕が前を行き 君の手を引いた

今じゃ行き場の無くした手が

羽根をもがれた蝶みたいに惨めにみえた

 

なりたい自分を夢にみて

そのくせ変わることを恐れて

生まれ這い蹲り蛹(さなぎ)にならずして

飛べるわけなどないのに 

 

どこかへ君が 飛んでいってしまわぬように

背中の羽根 残酷に切りつける

最低最悪な僕になりそうで

 

どこかで罪を 犯す前に離れなきゃと

優しさでもなんでもなくただ

飛べない弱虫だ

 

 

無意識にちぎったんだ

君と僕を繋げた細く赤い線を

接触不良でパチパチいってたのに

とうとう最期の力もって 花火散らし

 

想い過ぎると苦しめる

僕も君も取り巻く淡い夢も

泣ける夜更けが辛かった

なのに泣けない夜は

もっともっともっと辛い

 

羽根を引っ込めたこの僕は

まるで胡蝶の夢の百年目

このまま今日を 終えて良いのかと

手元の灯り消せぬまま

 

どうして君はボロボロの羽根をひろげて

懸命に懸命にただ

僕のそばで羽ばたこうとするの

 

どこかで罪を 犯す前に離れなきゃと

優しさでもなんでもなくただ

飛べない弱虫だ

 

でかい口叩く割りに使い方も知らない

甘い蜜を吸う資格もない

口をふさぐようにくれたあのキスは

幼い頃二人つんだ花の香りがした

今でもなお忘れられずにいる

あの花の香りがした

《胡蝶の夢》


5th album 『5/5』より

Lyrics / Shoko Iida 
Music / Shoko Iida 

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